
経済発展とルイスの転換点
イギリスの経済学者であるアーサー・ルイスが提唱した「ルイスの転換点」は、経済発展における転換期を示す重要な概念です。経済発展の初期段階では、農業などの第一次産業に従事する労働者が多い一方で、生産性が低いため、多くの余剰労働力が生まれます。 この余剰労働力が都市部に流入し、工場などで働くことで工業化が進展していくというのがルイスの考え方です。
ルイスの転換点とは、工業化がさらに進み、農村部から都市部への労働力移動が進む中で、ついには農業部門における余剰労働力が底をついてしまう時点を指します。 農村部で働き手が減ることで賃金が上昇し始め、企業は人件費の上昇を抑えるために機械化を進める必要に迫られます。こうして経済全体が、労働集約型から資本集約型へと変化していくのです。
ルイスの転換点は、経済発展における一つの通過点であり、この点を境に経済構造や社会構造が大きく変化していくことを示しています。