ノンデリバラブル・フォワードとは?
暗号通貨を知りたい
先生、「ノン・デリバラブル・フォアワード」って、どういう意味ですか?難しくてよくわからないんです。
暗号通貨研究家
そうだね。「ノン・デリバラブル・フォアワード」、略してNDFは、将来のある日にちで決めた値段で通貨を交換する約束のことなんだ。ただ、円やドルなどのように、実際に交換するんじゃなくて、差額だけをやり取りするんだ。
暗号通貨を知りたい
差額だけ? 例えば、どんな場合に使うんですか?
暗号通貨研究家
例えば、新興国の通貨みたいに、自由に取引できない通貨の為替リスクを減らしたい時に使うことが多いかな。 将来的にその通貨が値上がりするか値下がりするかで、得する金額が変わってくるんだけど、NDFを使えば、そのリスクを減らせるんだ。
ノン・デリバラブル・フォアワードとは。
{金融機関との間で行われる、将来のある時点の為替レートを決めておく取引のうち、取引対象となる通貨で受け渡しを行わず、円やドルなどの主要な通貨で差額をやり取りする取引のこと。新興国などの通貨のように、市場での取引が活発でなかったり、国の規制などで現物の調達が難しい場合に、為替変動によるリスクを避けるために利用されることが多い。}
ノンデリバラブル・フォワードの概要
– ノンデリバラブル・フォワード(NDF)の概要ノンデリバラブル・フォワード(NDF)は、将来のある特定の日に、あらかじめ決めた為替レート(予約レート)で通貨の交換を行うことを約束する取引です。これは、銀行などの金融機関の間で結ばれる先渡取引の一種ですが、実際の通貨の受け渡しは行いません。その代わりに、決済日に、あらかじめ決めた基準となる通貨(多くは米ドル)を用いて、予約レートと決済日における実際の為替レートとの差額を決済します。例えば、円とブラジルレアルのNDF取引を考えてみましょう。日本のA社とアメリカのB銀行の間で、3ヶ月後に1ブラジルレアルを10円という予約レートで、100万ブラジルレアルのNDF取引契約を結んだとします。3ヶ月後の決済日に、円に対するブラジルレアルの為替レートが1ブラジルレアル=12円になっていたとします。この場合、A社はB銀行に対して、差額の2円(12円-10円)に取引金額の100万ブラジルレアルをかけた200万円を、米ドルで支払う必要があります。もし、決済日の為替レートが1ブラジルレアル=9円だった場合は、B銀行がA社に対して、差額の100万ドルを米ドルで支払います。このように、NDFは実際に通貨を受け渡しすることなく、将来の為替変動リスクをヘッジするために利用されます。新興国通貨のように、資本取引規制などの要因により、先物取引やオプション取引などのヘッジ手段が限られる通貨を取扱う際に、特に有効な手段となります。
項目 | 内容 |
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定義 | 将来のある特定の日に、あらかじめ決めた為替レート(予約レート)で通貨の交換を行うことを約束する取引。
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例 |
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目的 |
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活用される背景と目的
– 活用される背景と目的新興国の通貨は、先進国の通貨と比べて、市場規模が小さく、参加者も少ないため、価格変動が大きくなりやすいという特徴があります。このような通貨は、発展途上国特有の経済状況や政治状況に影響されやすく、予測が難しい動きを見せることがあります。また、新興国では、為替取引に関する規制が厳しかったり、市場に十分な流動性がなかったりすることも多く、企業が将来の為替リスクをヘッジするのが難しい場合があります。このような状況下で、企業が円滑に国際取引を行うためには、為替変動リスクを適切に管理する必要があります。しかし、新興国通貨は先渡取引などの金融商品が未発達であることが多く、企業はリスクヘッジに苦労していました。そこで登場したのが、非デリバラブル・フォワード(NDF)です。NDFは、将来の特定の日にちの為替レートをあらかじめ決めておくという点では先渡取引と似ていますが、実際の通貨の受け渡しは行わず、決済日に差額のみを決済するという仕組みになっています。この仕組みにより、企業は新興国通貨を実際に調達することなく、為替変動リスクをヘッジすることが可能になります。NDFは、新興国通貨の為替リスク管理に新たな道を切り開き、企業の海外進出を後押しする役割を担っています。
新興国通貨の特徴 | 課題 | NDFのソリューション | メリット |
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価格変動が大きい 経済状況や政治状況に影響されやすい 為替取引の規制が厳しい場合がある 市場の流動性が低い場合がある |
為替変動リスクが高い 将来の為替リスクヘッジが難しい 先渡取引などの金融商品が未発達 |
将来の為替レートをあらかじめ決定 実際の通貨の受け渡しは行わず、差額のみを決済 |
新興国通貨を実際に調達することなく、為替変動リスクをヘッジ可能 企業の海外進出を後押し |
メリット:為替リスクの軽減
– メリット為替リスクの軽減為替変動リスクの軽減は、NDFを利用する大きな利点と言えるでしょう。企業が海外と取引を行う際、または海外へ投資を行う際には、常に為替変動リスクがつきまといます。為替レートは常に変動するものであり、取引時や投資時と、実際に決済を行う時では、為替レートが大きく変動している可能性も考えられます。このような場合、企業は為替差損を被ってしまうリスクがあります。しかしNDFを利用すれば、将来の特定の日に、予め決められた為替レートで取引を行うことができます。つまり、将来の為替レートを固定することができるのです。これにより、為替レートが変動したとしても、その影響を最小限に抑えることができます。特に、海外との取引が多い企業や、新興国への投資を行う企業にとって、NDFは非常に有効なリスクヘッジツールとなります。新興国の通貨は、先進国の通貨と比較して、為替変動が大きくなる傾向があります。そのため、新興国との取引や投資を行う際には、NDFを活用することで、為替リスクを効果的にヘッジすることができます。NDFは、企業の為替リスク管理を強力にサポートする金融商品と言えるでしょう。
メリット | 詳細 | 対象となる企業 |
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為替リスクの軽減 | 将来の為替レートを固定することで、為替変動リスクを最小限に抑えることができる。 | – 海外との取引が多い企業 – 新興国への投資を行う企業 |
デメリット:カウンターパーティーリスク
– デメリットカウンターパーティーリスク非居住者間外国為替証拠金取引(NDF)は、銀行などの金融機関と直接契約を結ぶ相対取引という形をとります。そのため、通常の市場取引とは異なり、取引相手となる金融機関が倒産してしまうと、契約が履行されず、損失を被ってしまうリスクが存在します。これをカウンターパーティーリスクと呼びます。例えば、あなたがNDF取引で円買いドル売りのポジションを持ち、決済日に円高ドル安になったとします。本来であれば利益が確定する場面ですが、取引相手の金融機関が倒産してしまうと、約定通りの決済が受けられず、利益を得ることができない可能性があります。さらに、仮にあなたが円売りドル買いのポジションを持っていた場合、損失が発生している状態となります。この場合、倒産した金融機関に損失分の支払いを請求することができなくなるため、大きな損失を被ってしまう可能性があります。NDF取引を行う際には、取引先の金融機関の財務状況や信用格付けなどを事前に十分に確認し、信用力の高い金融機関を選ぶことが重要です。カウンターパーティーリスクはNDF取引において避けては通れないリスクであるため、取引前にしっかりと理解しておく必要があります。
状況 | 円買いドル売りポジション | 円売りドル買いポジション |
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決済日に円高ドル安 | 本来は利益確定だが、取引相手が倒産すると利益を得られない可能性 | 損失が発生している状態。倒産した金融機関に損失分の支払いを請求できず、大きな損失を被る可能性 |
ノンデリバラブル・フォワードの事例
– ノンデリバラブル・フォワードの事例
日本の会社A社が、これから3か月後にブラジルの会社から商品を輸入するとします。この商品はブラジルの通貨であるレアルで購入することになっています。しかし、3か月後のレアルと円の為替レートがどうなるかは、現時点では誰にもわかりません。もし円安になり、レアルが高くなってしまったら、A社は当初予定していたよりも多くの円を支払わなければならなくなります。これが為替変動リスクです。
このようなリスクを回避するために、A社は金融機関とノンデリバラブル・フォワード(NDF)という契約を結ぶことができます。NDFは、将来の特定の日(今回は3か月後)に、あらかじめ決めておいた為替レート(今回はレアル/円)で通貨を売買する契約です。この契約では、将来の為替レートがどのように動いたとしても、A社はあらかじめ決めたレートでレアルを購入することができます。
例えば、A社と金融機関の間で、3か月後のレアル/円の為替レートを1レアル=30円と決めたとします。3か月後、実際にレアルが値上がりし、1レアル=35円になったとしましょう。この場合、A社はNDF契約によって、市場価格よりも割安な30円でレアルを購入できます。その結果、輸入取引で発生する為替差損を相殺することができます。このように、NDFは将来の為替変動リスクを回避するための有効な手段と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
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状況 | 日本のA社が3ヶ月後にブラジルの会社からレアルで商品を輸入予定 |
リスク | 3ヶ月後のレアル/円の為替変動リスク (円安によるレアル高) |
対策 | 金融機関とノンデリバラブル・フォワード(NDF)契約を締結 |
NDFの内容 | 将来の特定の日(今回は3か月後)に、あらかじめ決めておいた為替レート(今回はレアル/円)で通貨を売買する契約 |
メリット | 将来の為替レートがどのように動いたとしても、A社はあらかじめ決めたレートでレアルを購入できます。 |
例 | A社と金融機関が、3か月後のレアル/円の為替レートを1レアル=30円と設定。 3か月後、実際の為替レートが1レアル=35円になった場合、A社はNDF契約によって、市場価格より割安な30円でレアルを購入可能。 |