LIBORとは? 世界経済を支えた金利指標を解説

LIBORとは? 世界経済を支えた金利指標を解説

暗号通貨を知りたい

『LIBOR』って、ニュースで聞くことはあるけど、実際どんなものかよくわからないんです。説明してもらえますか?

暗号通貨研究家

「LIBOR」は、ロンドンの銀行同士でお金を貸し借りする際の金利の目安となるものだよ。毎日発表されるんだけど、世界中で使われているんだ。

暗号通貨を知りたい

銀行同士で貸し借りする金利の目安ということは、私たちの生活にも関係あるんですか?

暗号通貨研究家

そうだよ。例えば、住宅ローンや企業の借り入れの金利は、このLIBORを基準に決められることが多いんだ。だから、LIBORが上がれば、ローンを組むときにより多くの金利を払う必要が出てくる可能性があるんだよ。

LIBORとは。

「暗号資産と関係する言葉、『LIBOR』について説明します。『LIBOR』は、1986年から発表されている、世界中で使われる短期金利の目安となるものです。ロンドンにある銀行間で、お金を貸し借りする市場での、お金を貸したい銀行側の金利の平均値です。 毎日ロンドン時間の午前11時に、2営業日後から始まる、利息の支払いが満期日一括払いで、金利が日数÷360で計算される取引を前提としています。 この取引における特定の銀行(リファレンス・バンク)の見積もり金利を、英国銀行協会(BBA)が聞き取ります。(ただし、米ドルのLIBORの場合は、対象となる銀行は18行です)そして、申告された金利のうち、高い方と低い方からそれぞれ25%を除いた平均値を計算し、「BBALIBOR」として発表しています。通貨は、米ドル、英ポンド、日本円、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドル、スイスフラン、カナダドル、デンマーククローネ、スウェーデンクローナの10種類、期間は翌日、1週間、2週間、1か月から12か月までの15種類あります。」

LIBORの定義

LIBORの定義

LIBORは「London Interbank Offered Rate」の略称で、日本語では「ロンドン銀行間取引金利」と言います。これは、ロンドン市場において銀行同士が資金を貸し借りする際の金利の目安となる指標です。1986年から公表されており、国際的な短期金利の指標として世界中の金融取引に広く使われてきました。

具体的には、毎日、ロンドンにある主要な銀行が、他の銀行に対して一定期間(翌日物から1年間まで)資金を貸し出す場合、どれくらいの金利で貸すかを申告します。その申告された金利のうち、極端に高いものと低いものを除いた残りの金利の平均値が、LIBORとして公表されるのです。

このLIBORは、住宅ローンや企業融資など、様々な金融商品の金利設定の基準として利用されてきました。例えば、住宅ローンの金利が「LIBOR+1%」などと設定されている場合、LIBORが変動すると、その変動に合わせて住宅ローンの金利も変動します。このように、LIBORは世界経済に大きな影響力を持つ金利指標として、長年重要な役割を担ってきました。

項目 内容
正式名称 London Interbank Offered Rate
日本語名 ロンドン銀行間取引金利
定義 ロンドン市場において銀行同士が資金を貸し借りする際の金利の目安となる指標
算出方法 ロンドンにある主要な銀行が申告する一定期間の資金貸出金利の平均値(極端に高いものと低いものを除く)
用途 住宅ローンや企業融資など、様々な金融商品の金利設定の基準
影響力 世界経済に大きな影響力を持つ金利指標

LIBOR算出の仕組み

LIBOR算出の仕組み

LIBORは、銀行同士が短期的に資金を貸し借りする際の基準となる金利で、毎日午前11時(ロンドン時間)に公表されます。

この金利を決める作業は、英国銀行協会が毎日行っています。具体的には、世界中から信用力の高い複数の銀行を選び、それぞれの銀行に対して、「ある特定の期間、例えば1週間後や1か月後といった期間で、資金を借りるとしたら、金利はどれくらいになりますか?」と質問します。質問する際には、通貨の種類や資金の借り入れ期間など、いくつかの条件を定めています。

各銀行から回答された金利データは、そのまま平均するのではなく、極端に高い金利や低い金利は一定数除外します。これは、特別な事情によって金利が大きく変動している銀行の影響を排除し、より実態に即した平均金利を算出するためです。このようにして最終的に算出された平均値が、その日のLIBORとして公表されます。

LIBOR算出の仕組み

LIBORの通貨と期間

LIBORの通貨と期間

– LIBORの通貨と期間LIBORは、世界中の銀行間で資金を貸し借りする際の基準金利として用いられています。異なる通貨で資金調達を行う際や、資金の借入期間が異なる場合、適用される金利は当然異なります。そのため、LIBORは、通貨と期間の組み合わせによって、さまざまな種類が存在するのです。まず、通貨について見ていきましょう。LIBORは、米ドル、ユーロ、日本円など、国際金融市場で主要な役割を果たす通貨を対象としています。それぞれの通貨で、銀行間市場における資金需給が異なるため、通貨ごとに異なるLIBORが設定されます。例えば、ある日の米ドルLIBORが1%、ユーロLIBORが0.5%だった場合、これは、銀行が米ドルで資金を調達する際のコストが、ユーロよりも高いことを意味します。次に、期間について見ていきましょう。LIBORは、翌日物から12か月物まで、さまざまな資金調達期間に対応しています。翌日物は、文字通り翌日返済の資金取引を指し、12か月物は1年間借り入れる取引を指します。一般的に、資金の借入期間が長くなるほど、貸し手はより多くのリスクを負うことになります。そのため、長期のLIBORは短期のLIBORよりも高くなる傾向があります。このように、LIBORは、通貨と期間の組み合わせによって、多様な金利が存在します。これは、国際金融市場における資金調達の複雑さを反映していると言えるでしょう。

項目 説明
通貨 米ドル、ユーロ、日本円など、主要な国際通貨に対応
通貨ごとに銀行間市場の資金需給が異なるため、通貨ごとに異なるLIBORが設定される
期間 翌日物から12か月物まで、様々な資金調達期間に対応
一般的に、期間が長くなるほど金利は高くなる傾向がある

LIBORの重要性

LIBORの重要性

– LIBORの重要性

LIBORは、銀行がお互いに短期資金を貸し借りする際の金利の目安となる指標であり、長年にわたり世界中の金融取引において中心的な役割を担ってきました。

企業は、LIBORを基準とした金利で資金を調達することで、事業に必要な資金を円滑に確保してきました。例えば、LIBORに一定の金利を上乗せしたものを適用する変動金利型のローンは、企業にとって一般的な資金調達方法となっています。LIBORの変動は、企業の借入コストに直接影響を与えるため、企業の業績にも大きな影響を与える可能性があります。

また、LIBORは、投資家にとっても重要な投資判断の指標となってきました。LIBORに連動する金融商品は数多く存在し、投資家はLIBORの動向を注視しながら、投資戦略を立てています。

このように、LIBORは企業の資金調達や投資家の投資判断に大きな影響を与え、世界経済を支える重要な金融指標の一つとして機能してきました。しかし、近年は、一部の銀行による不正操作などが問題視され、LIBORに代わる新たな指標への移行が進められています。

項目 内容
LIBORの定義 銀行がお互いに短期資金を貸し借りする際の金利の目安となる指標
企業への影響 – LIBORを基準とした金利で資金調達 (例: 変動金利型ローン)
– LIBORの変動は、企業の借入コストに影響を与え、業績にも影響する可能性
投資家への影響 – LIBORに連動する金融商品への投資判断の指標
重要性 – 企業の資金調達や投資家の投資判断に影響
– 世界経済を支える重要な金融指標
今後の展望 – 不正操作問題などを受け、LIBORに代わる新たな指標への移行

LIBORの問題点と廃止

LIBORの問題点と廃止

長らく、世界の金融市場において、銀行間でお金を貸し借りする際の基準金利として、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が広く利用されてきました。企業への融資や住宅ローン、デリバティブ取引など、LIBORを参照する金融商品の規模は非常に大きく、世界経済に与える影響は計り知れませんでした。
しかし、近年、一部の銀行が、自社の利益を上げるためにLIBORの金利操作を行っていたことが明らかになり、金融業界全体に大きな衝撃が走りました。この事件は、LIBORの信頼性を大きく損ない、金利指標としての機能を低下させる結果となりました。
こうした事態を受けて、金融安定理事会(FSB)は、LIBORに代わる、より信頼性の高い金利指標の導入を提唱しました。そして、2021年末、主要通貨のLIBORの公表が廃止されることが決定しました。
現在、LIBORに代わる新たな金利指標として、各国の中央銀行が推奨する指標への移行が進められています。例えば、日本では、東京ターム物リスクフリー・レート(TORF)、アメリカでは、Secured Overnight Financing Rate(SOFR)などが、新たな金利指標として注目されています。
LIBORから新たな金利指標への移行は、金融市場にとって大きな転換期といえます。この移行を円滑に進めるためには、金融機関や企業は、新たな金利指標に関する理解を深め、適切な対応を行うことが求められます。

項目 内容
従来の基準金利 ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)
– 企業融資、住宅ローン、デリバティブ取引などに広く利用
– 世界経済への影響が大きい
LIBORの問題点 一部銀行による金利操作が発覚
– LIBORの信頼性低下
– 金利指標としての機能低下
対応策 金融安定理事会(FSB)がLIBORに代わる新たな金利指標の導入を提唱
– 2021年末、主要通貨のLIBOR公表廃止
新たな金利指標の例 – 日本:東京ターム物リスクフリー・レート(TORF)
– アメリカ: Secured Overnight Financing Rate(SOFR)
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