企業年金の要！厚生年金基金とは？

企業年金の要！厚生年金基金とは？

厚生年金基金の役割

– 厚生年金基金の役割

日本の年金制度は、国民の老後の生活を支える重要な仕組みです。この制度は、3つの階層構造で成り立っています。

まず、1階部分には、国民全員が加入する国民年金があります。これは、国民一人ひとりに最低限の生活保障を提供するものです。

次に、2階部分には、主に会社員や公務員が加入する厚生年金や共済年金があります。これらは、1階部分の国民年金に上乗せされる形で、現役時代の収入に応じてより手厚い保障を行うものです。

そして、厚生年金基金は、この2階部分にさらに上乗せする形で、企業が従業員に対してより充実した年金給付を行うものです。これは、企業が独自に設立・運営する年金制度で、従業員の老後の生活設計を支える重要な役割を担っています。

企業にとって、厚生年金基金を設立するメリットは、従業員の老後の生活保障を充実させることで、従業員の定着率向上や優秀な人材の確保につながることなどが挙げられます。また、社会貢献という側面からも、企業が重要な役割を担っていると言えるでしょう。

設立の背景と目的

かつて日本は、高い経済成長を遂げていました。この時代、多くの企業は従業員を生涯にわたって雇用し、勤続年数に応じて給与を上げていく、いわゆる終身雇用と年功序列を基盤としていました。そして、従業員の生活設計においても企業が重要な役割を担い、老後の生活も企業が保障する、という考え方が一般的でした。

しかし、時代の変化とともに、公的な年金制度だけでは、安心して老後を過ごせるだけの十分な収入を保障することが難しくなってきました。そこで、企業は、従業員のために、独自に年金制度を設ける必要に迫られるようになりました。

このような背景のもと、厚生年金保険法に基づいて設立されたのが、厚生年金基金です。厚生年金基金は、企業がより安全かつ効率的に年金制度を運営できるようにすることを目的としています。具体的には、企業から集めた掛金を、株や債券などの金融商品で長期的に運用し、将来の年金給付に備えるという仕組みです。

運営の仕組み

– 運営の仕組み

厚生年金基金は、会社が従業員の老後の生活を支えるために作る年金制度の一つです。
この制度は、国の認可を受けた特別な団体(法人)によって運営されます。

この団体には、会社と従業員の両方が加入します。
会社は、従業員一人ひとりに代わって毎月一定のお金を積み立てます。
これを「掛金」と呼びます。
従業員も掛金を負担する場合があります。

集められた掛金は、専門家が責任を持って運用・管理します。
例えば、株や債券といった金融商品に投資し、お金を増やすことを目指します。

そして、従業員が定年退職を迎える、あるいは病気や怪我で働けなくなった場合などに、積み立てたお金と運用益を元に年金が支給されます。
このように、厚生年金基金は、会社と従業員が協力して老後の生活資金を準備する、いわば「自分たちのための年金制度」と言えるでしょう。

近年における変化と課題

近年、日本社会は大きな変化の中にあります。人々の寿命は延び、生まれる子どもの数は減少し、働く人の雇用形態も多種多様になっています。このような社会構造の変化は、企業が従業員のために積み立てている厚生年金基金にも大きな影響を与えています。

特に、長引く超低金利の影響は深刻です。預金金利がほぼゼロに近い状態が続いているため、厚生年金基金の運用成績は悪化し、将来、年金を約束通りに支払うことが難しくなるケースも出てきています。

このような状況を受けて、厚生年金基金の今後について、様々な議論が巻き起こっています。基金自体を解散したり、他の基金と統合したり、あるいは企業年金連合会という組織に移行したりといった選択肢が検討されています。どの選択肢が最適なのかは、それぞれの基金の置かれた状況によって異なりますが、従業員の将来を守るためには、早急な対応が求められています。