
グーグル税:巨大IT企業への課税強化
世界経済の結びつきが強まる現代において、国境を越えて活動し巨額の利益を上げている多国籍企業への課税は、国際社会全体にとって大きな課題となっています。従来の税制では、企業は工場やオフィスといった物理的な拠点や従業員が存在する国に対して法人税を納めるのが一般的でした。しかし、インターネットの普及により、特定の物理的な拠点をほとんど持たずに世界規模で事業を展開する多国籍企業が増加し、従来の税制では十分な税収を確保することが難しくなっているのです。
例えば、ある多国籍企業が、製品の研究開発を税率の低い国で行い、製造は人件費の安い別の国で行い、販売は需要の大きい国で行うといったように、事業を世界中に分散させているとします。このような場合、それぞれの国が従来の税制に基づいて課税すると、企業は実質的に低い税率しか負担しない可能性があります。
こうした状況に対処するために、国際社会では新たな課税ルール作りに向けた議論が活発化しています。その中でも注目されているのが、デジタル経済における課税です。これは、インターネットを通じて提供されるサービスに対しても、その利用者の所在国で課税できるようにしようというものです。しかし、新しいルールを導入するには、各国間の合意形成や、新たな制度設計に伴う課題など、解決すべき問題が山積みなのが現状です。