
ギリシャ金融安定基金:危機を救った救済機関
2010年、ギリシャは巨額の財政赤字を抱え、国債の金利が急騰し、事実上の債務不履行(デフォルト)に陥りました。これはギリシャ経済の破綻のみならず、ユーロ圏全体、さらには世界経済への影響も懸念される事態でした。この危機に対応するため、EUとIMFはギリシャへの金融支援を決定しました。しかし、この支援には、ギリシャ政府による厳しい財政緊縮策の実施が条件とされました。
ギリシャへの金融支援と並行して、ギリシャ国内の銀行システムの安定化を図るために設立されたのが、ギリシャ金融安定基金(HFSF)です。HFSFは、EUやIMFからの資金を元に、ギリシャの銀行に対して資本注入や債務保証などの支援を行いました。これらの支援により、ギリシャの銀行は危機を乗り切り、金融システムの安定化に貢献しました。しかし、HFSFによる支援は、あくまでも危機対応のための時限的な措置でした。ギリシャ経済の回復と財政再建が進むにつれて、HFSFは役割を終え、2018年に解散しました。