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ネクストイレブン:BRICsに続く成長市場

- ネクストイレブンとは「ネクストイレブン」とは、2005年にアメリカの投資銀行であるゴールドマン・サックスが、今後経済成長が著しいと予測した11ヶ国のことを指します。これは、当時既に経済大国として認識されていた「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)に続く、新たな成長市場として注目されました。具体的には、インドネシア、イラン、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、メキシコが含まれます。これらの国々は、いくつかの共通点を持っています。まず、いずれの国も人口が多く、豊富な労働力を抱えています。これは経済成長の大きな原動力となる可能性を秘めています。また、石油や天然ガスといった天然資源が豊富に存在する国も多く、経済発展の基盤となることが期待されます。さらに、これらの国々は発展途上国に分類され、経済成長の余地が大きいことも特徴です。しかし、ネクストイレブンは、経済成長の潜在力が高い一方で、政治の不安定さや、インフラの未整備、貧富の格差といった課題も抱えています。これらの課題を克服し、持続的な経済成長を遂げられるかどうかが、今後の発展の鍵を握ると言えるでしょう。
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精度の高い「連鎖方式」:メリットと注意点

経済の動向を把握する上で、物価や経済成長を表す「指数」は欠かせない指標です。この指数を算出する方法として、近年注目を集めているのが「連鎖方式」です。 従来広く用いられてきたラスパイレス方式やパーシェ方式では、基準となる時点から時間が経過するにつれて、物価の動きを正確に反映できなくなる可能性がありました。これは、消費者の購買行動の変化や、技術革新による新しい商品やサービスの登場といった要因が、時間の経過とともに指数に影響を与えるためです。このような現象を「バイアス」と呼びます。しかし、連鎖方式は、このバイアスを最小限に抑える革新的な方法として登場しました。 具体的には、連鎖方式では、短い期間ごとに基準時点を更新し、その都度、物価や数量の変動を計算します。そして、それらを繋ぎ合わせることで、より現実に近い形で物価や経済成長の動きを捉えることができます。 連鎖方式の導入により、経済統計の信頼性は高まり、政府や企業はより精度の高い経済分析に基づいた意思決定を行うことが可能となります。また、消費者にとっても、物価の動きをより正確に把握することで、家計管理に役立てることができます。
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消費者信頼感から見る英国経済

- 英国経済のバロメーター 英国経済の動向を掴むことは、投資家や企業にとって非常に重要です。経済の状況を把握するために、様々な経済指標が用いられますが、中でも「ネーションワイド消費者信頼感指数」は、英国経済の先行指標として特に注目されています。 この指数は、英国の大手住宅金融組合であるネーションワイドが毎月発表しています。消費者の経済に対する見通しや支出意欲などを調査し、数値化することで、英国全体の消費者心理を映し出す重要な指標となっています。 具体的には、個人の財政状況、国の経済状況に対する今後半年間の見通し、今後1年間の大型購入品のタイミング、現在の雇用状況に対する見方などを調査し、指数として算出しています。 この指数が上昇すると、消費者は経済状況に対して楽観的な見通しを持っていると解釈できます。その結果、消費や投資が活発化し、経済全体が活性化する可能性を示唆します。逆に、指数が下落すると、消費者は経済状況に対して悲観的な見通しを持っていると解釈できます。 このように、「ネーションワイド消費者信頼感指数」は、英国経済の将来を占う上で欠かせない指標の一つと言えるでしょう。
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注目の経済指標:ニューヨーク連銀製造業景気指数

- ニューヨーク連銀製造業景気指数アメリカの製造業の今を知る ニューヨーク連銀製造業景気指数は、毎月発表される経済指標の一つで、アメリカの景気動向を掴む上で特に注目されています。この指数は、ニューヨーク連邦準備銀行が管轄区域内の製造業企業約200社を対象にアンケート調査を実施し、その結果を数値化したものです。対象となる企業は業種別に選ばれており、製造業全体の動向を反映するように設計されています。 具体的には、「新規受注」「出荷」「雇用状況」「在庫水準」など、製造業の現状を把握するための重要な項目について、前月と比較して「増加」「横ばい」「減少」のいずれかを選択してもらいます。そして、その回答を集計して指数として算出します。 この指数がプラスの場合、ニューヨーク州の製造業活動が前月と比べて拡大していることを示唆します。逆に、マイナスであれば、製造業活動が縮小していることを意味します。製造業はアメリカ経済において重要な役割を担っているため、この指数の動向は、今後の景気全体を占う上でも重要な手がかりとなります。 ニューヨーク連銀製造業景気指数は、他の経済指標と合わせて見ることで、より多角的に景気を分析することができます。例えば、雇用統計や消費者物価指数などと併せて観察することで、より精度の高い景気判断が可能となるでしょう。
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経済成長のサイン?クリーピング・インフレを解説

- ゆっくりと忍び寄る物価上昇クリーピング・インフレとはクリーピング・インフレとは、まるで気が付かないうちに忍び寄るように、物価がゆっくりと上昇していく現象を指します。具体的には、年間で数%程度の緩やかな物価上昇のことを指し、経済学では一般的に、年間3%程度の物価上昇をクリーピング・インフレと定義することが多いです。では、なぜこのような緩やかな物価上昇が起こるのでしょうか?それは、経済が穏やかに成長している時期に起こりやすいとされています。人々の所得が増え、モノやサービスへの需要が高まることで、その価格も上昇していくからです。クリーピング・インフレは、経済成長にとってプラスに働く側面もあります。緩やかな物価上昇は、人々の購買意欲を高め、企業は製品やサービスの価格を上げやすくなるため、設備投資などを積極的に行うようになります。このように、クリーピング・インフレは、経済全体を活性化させる効果も期待できるのです。しかし、油断は禁物です。クリーピング・インフレが過度になると、急激な物価上昇を引き起こすインフレへと繋がる可能性も孕んでいます。物価の動向を注意深く観察していく必要があります。
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物価変動を考慮した経済指標:名目GDPとは

- 名目GDPとは名目GDPとは、特定の期間(通常は1年間)に国内で生産された全ての最終的な商品やサービスの市場価値を、その時点での価格に基づいて合計したものです。 つまり、経済活動の規模を金額で表したものであり、国の経済規模を把握するための重要な指標の一つです。例えば、ある年に車が100万円、米が10kgで5,000円で売られていたとします。この年、車が10台、米が1000kg生産された場合、名目GDPは (100万円 x 10台) + (5,000円 x 1000kg) = 1500万円 となります。名目GDPは、生産量の変化と価格の変化の両方を反映するため、経済成長やインフレーションの影響を受けます。 生産量が増加すれば名目GDPは増加し、価格が上昇(インフレーション)しても名目GDPは増加します。しかし、名目GDPの上昇が必ずしも経済状況の改善を意味するわけではありません。例えば、インフレーションによって価格が上昇した場合、生産量が変化していなくても名目GDPは増加します。このような場合、名目GDPの上昇は実質的な経済成長を反映しているわけではありません。そのため、経済状況を正確に把握するためには、物価変動の影響を取り除いた実質GDPを合わせて見る必要があります。 実質GDPは、基準となる年の価格を用いて計算するため、物価変動の影響を受けずに生産量の増減を把握することができます。
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無リスク利子率:投資判断の基礎

投資の世界では、常にリスクとリターンが隣り合わせです。高い利益を求めるほど、通常は大きな危険を伴います。反対に、危険を抑えようとすると、得られる利益も少なくなるのが一般的です。「無リスク利子率」とは、このようなリスクとリターンの関係において、理論上は危険性が全くない、あるいは限りなくゼロに近いと考えられる投資から得られる利回りのことを指します。 具体的には、日本国債や米国債のように、信用力の極めて高い国家が発行する国債の利回りなどが無リスク利子率の代表例として挙げられます。これらの国が発行する債券は、元本や利息が支払われないというリスクがほぼないと考えられているためです。 無リスク利子率は、他の投資商品の期待リターンを評価する際の基準点として用いられます。例えば、ある株式投資の期待リターンが無リスク利子率を大きく上回る場合には、その投資は魅力的と判断される可能性があります。逆に、期待リターンが無リスク利子率を下回る場合は、リスクに見合ったリターンが得られないと判断される可能性があります。 ただし、現実の世界において完全にリスクのない投資は存在しません。国債であっても、発行国の財政状況が悪化したり、予期せぬ出来事が起こったりすることで、元本や利息が保証されなくなる可能性は完全にゼロではありません。そのため、無リスク利子率はあくまで理論上の概念として捉え、現実の投資判断においては、常に潜在的なリスクを考慮する必要があります。
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世界経済のニューノーマル:6つのアノマリー

「ニューアブノーマル」とは、ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授によって提唱された、世界経済における新たな常識を指す概念です。 従来の経済学のセオリーでは説明しきれない、異常な経済状況が続いており、世界経済はかつてない局面を迎えています。 ルービニ教授はこの新たな経済状況を特徴づけるものとして、「6つの異常」を定義しました。 まず、世界経済は低成長、低インフレ、低金利の「3つの低」状態に陥っています。これは、世界的な需要不足、生産性の伸び悩み、高齢化などが背景にあります。次に、世界的に債水準が歴史的に高い状態が続いています。これは、政府、企業、家計が過剰な債務を抱えていることを意味し、経済の不安定要因となっています。さらに、国際的な貿易摩擦や保護主義の台頭が見られます。これは、世界経済の不確実性を高め、企業の投資意欲を減退させる要因となっています。加えて、技術革新によって雇用が失われ、所得格差が拡大しています。これは、社会不安や政治の不安定化につながる可能性があります。また、地球温暖化などの環境問題が深刻化しており、経済活動に大きな影響を与えています。最後に、地政リスクの高まりも挙げられます。国際的な紛争やテロの脅威は、経済活動に大きなリスクをもたらします。これらの「6つの異常」が複雑に絡み合い、世界経済は予測困難な状態に陥っていると言えるでしょう。
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経済を蝕む魔物:ギャロッピング・インフレとは?

- ギャロッピング・インフレとはギャロッピング・インフレとは、物の値段が急速に上がり続ける現象を指します。通常、緩やかな物価上昇は経済成長に伴い、許容範囲とされています。しかしながら、ギャロッピング・インフレは、その言葉が馬の駆け足の速度になぞらえているように、年率数十%という猛烈な勢いで物価が上昇していく点が大きく異なります。通常、物価は一年で数%程度の上昇にとどまります。ところが、ギャロッピング・インフレに見舞われると、一年で数十%、場合によっては100%を超える勢いで物価が上昇してしまうのです。これは、私たちが毎日使う食料品や日用品の値段が、あっという間に上がってしまうことを意味します。このような状態は、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。例えば、今までと同じ給料をもらっていても、物価上昇に給料の増加が追いつかず、実質的に生活が苦しくなってしまいます。また、急激な物価上昇は、企業の経営を不安定にし、経済全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。ギャロッピング・インフレは、経済にとって非常に危険な状態と言えるでしょう。
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キチンサイクル:在庫変動が経済に与える影響

- キチンサイクルとは「キチンサイクル」とは、経済活動が約3~5年(約40ヶ月前後)の周期で循環するという考え方です。1923年にアメリカの経済学者ジョセフ・キチンによって提唱されました。キチンサイクルは、企業の在庫投資に着目した景気循環論です。景気が良い時は、企業は将来の需要増加を見込んで商品をたくさん生産し、在庫を増やします。しかし、実際には需要が予測を下回ると、在庫が過剰になってしまいます。そこで、企業は生産調整を行い、在庫を減らそうとします。この生産調整が経済活動の停滞につながり、景気は後退局面に入ります。キチンサイクルは、他の景気循環論と比べて周期が短いことが特徴です。例えば、設備投資の変動に注目したジュグラーサイクルは約7~11年、建設投資の変動に注目したクズネッツサイクルは約15~25年とされています。キチンサイクルが短期間で循環するのは、在庫投資が他の投資に比べて調整しやすいからです。キチンサイクルは、在庫投資の増減が景気変動に大きな影響を与えるという特徴も持ちます。在庫投資が増加すると、企業の生産活動が活発になり、経済全体が活性化します。逆に、在庫投資が減少すると、企業は生産を縮小するため、経済は停滞します。キチンサイクルは、経済の動きを理解する上で重要な概念の一つです。キチンサイクルを理解することで、景気の現状を把握し、将来の景気動向を予測する一助となります。
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ビットコインの市場支配率:ドミナンスの推移

- ドミナンスとは仮想通貨市場には、ビットコインをはじめとして、数多くの種類の通貨が存在しています。それぞれの通貨が独自の値動きを見せる中で、市場全体におけるビットコインの影響力を測る指標のひとつに「ドミナンス」があります。ドミナンスは、仮想通貨市場全体におけるビットコインの時価総額の割合を指します。計算式としては、ビットコインの時価総額を仮想通貨市場全体の時価総額で割ることで算出されます。例えば、ドミナンスが70%だった場合、仮想通貨市場全体の時価総額のうち、70%をビットコインが占めていることを意味します。これは言い換えれば、市場全体のお金の動きの中で、ビットコインがどれだけ大きな割合を占めているかを示す指標と言えるでしょう。ドミナンスが高い場合は、ビットコインが仮想通貨市場全体を牽引している状態と解釈できます。逆に、ドミナンスが低い場合は、ビットコイン以外のアルトコインと呼ばれる通貨が市場を賑わせている状態と考えることができます。このドミナンスの推移を見ることで、市場のトレンドや投資家心理をある程度把握することが可能となります。しかしながら、ドミナンスはあくまで指標の一つに過ぎず、投資判断の際には、他の様々な要素も考慮する必要があると言えるでしょう。
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個人消費の物価を測る:PCEデフレータとは?

私たちが日々購入する「モノ」や「サービス」の価格は、常に変動しています。この価格変動は、私たちの生活に大きな影響を与えます。例えば、同じ食料品を買うにしても、価格が上がれば家計の負担は増えますし、逆に価格が下がれば支出を抑えることができます。 このような状況を把握するために、経済指標の一つである「個人消費支出(PCE)」が注目されています。これは、私たちが商品やサービスにどれだけ支出しているかを示す指標です。しかし、個人消費支出の増加は、必ずしも購入した「量」が増えたことを意味するわけではありません。例えば、価格が2倍に上昇すれば、たとえ購入量が変わらなくても個人消費支出は2倍に増加してしまうからです。 そこで重要になるのが、「PCEデフレータ」という指標です。これは、個人消費支出の総額を、基準となる年の価格水準で割戻すことで、実質的な購買力の変化を測定するものです。つまり、PCEデフレータを見ることで、物価の影響を取り除き、純粋な消費量の増減を把握することができます。 PCEデフレータは、消費者物価指数(CPI)と並んで、インフレ率を測る重要な指標として用いられています。家計の消費動向や物価の動きを理解するためには、これらの指標に注目することが重要です。
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為替ベースと通関ベースの違い

世界の国々で行われる貿易取引を理解するには、品物の流れとお金の動きの両面から詳しく調べる必要があります。品物の流れを把握するには「通関ベース」、お金の流れを把握するには「為替ベース」という二つの考え方があります。この二つは、一見同じことを表しているように思えますが、実際には異なる情報を私たちに提供してくれます。 「通関ベース」は、国境を通過する品物の流れを記録したものです。具体的には、輸出入される品物の種類、数量、金額などが集計されます。このデータを見ることで、どの国とどの国で、どのような品物がどれくらい取引されているのかを知ることができます。一方、「為替ベース」は、貿易取引に伴うお金の流れを記録したものです。こちらは、輸出入の代金決済や国際的な投資など、国境を越えて移動するお金の流れを捉えます。 この二つは、タイミングや対象範囲が異なるため、数値が異なる場合があります。例えば、ある製品を輸出した場合、品物が実際に国境を越えるのは契約から数ヶ月後になることもありますが、「通関ベース」では品物が国境を越えた時点、「為替ベース」では代金決済が行われた時点でそれぞれ計上されます。このように、貿易取引を多角的に理解するためには、品物の流れと、お金の流れ、両方の視点から分析することが重要です。
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個人消費の動向を読む:PCEコアデフレータとは

私たちが日々購入する商品やサービスの値段は常に変動しており、経済全体に大きな影響を与えています。この価格変動の傾向を把握することは、経済の現状を理解し、将来を予測する上で非常に重要となります。経済の動向を掴むための重要な指標の一つに、物価の動きを示すものがあります。 物価とは、様々な商品やサービスの平均的な価格水準を示すものです。物価が上昇傾向にある場合は、私たちの生活に必要なものを購入するために、より多くのおお金が必要になります。このような状態はインフレーションと呼ばれ、経済活動が活発化している場合や、供給不足などが原因で発生します。一方、物価が下降傾向にある場合はデフレーションと呼ばれ、需要の低迷や景気後退などが原因で発生する可能性があります。 物価の動きを把握するために用いられる指標の一つに、「PCEコアデフレータ」があります。これは、アメリカ合衆国における個人消費支出に焦点を当てた指標で、変動の激しい食品やエネルギー価格を除いた、より安定的な物価の動きを把握することができます。PCEコアデフレータは、アメリカの金融政策を決定する上で重要な指標として用いられており、その動向は世界経済にも大きな影響を与えます。
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暗号資産市場を動かすカンファレンスボード

カンファレンスボードは、アメリカ合衆国に拠点を置く、世界的に有名な民間経済調査機関です。1916年に設立され、100年以上にわたり、企業や経済の動向を分析し、様々な指標やレポートを発表することで、世界中の経済関係者に重要な情報を提供してきました。 カンファレンスボードが発表する指標の中で、特に注目されているのが景気先行指数(Leading Economic IndexLEI)です。この指数は、新規求人数や消費者信頼感指数など、10の経済指標を基に算出され、将来の景気動向を予測する指標として、多くの企業や投資家から参考にされています。 また、カンファレンスボードは、消費者調査やビジネス調査なども行っており、これらの調査結果も、企業の経営戦略や政府の経済政策の立案に役立てられています。 長年の歴史と豊富な経験を持つカンファレンスボードは、世界経済の現状と将来展望に関する洞察を提供し続けており、経済の専門家や政策立案者にとって欠かせない情報源となっています。
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金融政策の注目指標:トリム平均PCEとは?

世の中の物の値段がどのように変化しているのかを掴むことは、国の経済を良い状態に保つためにとても大切です。特に、国の銀行が金利やお金の量を決める金融政策という活動を行う上で、物の値段の安定は重要な目標となります。そのため、様々な経済指標を参考にしますが、アメリカの中央銀行であるアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が特に注目している指標の一つに、個人消費支出(PCE)価格指数があります。 このPCE価格指数は、アメリカの家庭が日々の生活で購入する物やサービスの値段の変化を幅広く反映したものです。FRBは、このPCE価格指数を参考にしながら、インフレーション(物価の上昇)が激しすぎないか、または低すぎないかを注意深く見守っています。もしインフレーションが激しすぎると、人々の生活が苦しくなったり、経済が不安定になる可能性があります。逆に、インフレーションが低すぎると、企業の活動が停滞し、経済全体が活気を失ってしまう可能性があります。 このように、PCE価格指数は、アメリカ経済の健全性を測る上で欠かせない指標の一つと言えるでしょう。
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世界を動かすお金: ワールド・ダラー

- ワールド・ダラーとは世界経済において、さまざまな国の間でモノやサービスが取引されていますが、その際に欠かせないのが通貨です。国際的な取引で使用される通貨は様々ですが、中でもアメリカの通貨であるドルは「基軸通貨」として特に重要な役割を担っています。そして、このドルの供給量を示す指標の一つが「ワールド・ダラー」です。ワールド・ダラーは、大きく分けて二つの要素から成り立っています。一つは、アメリカの金融政策の中心的な役割を担う、米連邦準備制度理事会(FRB)が国内に供給するドルの量です。FRBは、アメリカの経済状況に合わせて、市場に供給するドルの量を調整しています。もう一つは、海外の中央銀行などが、外貨準備として保有しているドルの量です。外貨準備とは、為替相場の変動に備えたり、国際的な取引に使用したりするために、各国が保有している外国通貨のことです。ドルは基軸通貨として重要なため、多くの国が外貨準備としてドルを保有しています。これらの二つの要素を合計したワールド・ダラーは、世界経済におけるドルの影響力を測る上で欠かせない指標となっています。ワールド・ダラーの増加は、世界的にドルの供給量が増加することを意味し、市場に流通するお金が増えることで、経済活動が活発になる可能性があります。一方、ワールド・ダラーの減少は、世界的にドルの供給量が減少することを意味し、市場に流通するお金が減ることで、経済活動が停滞する可能性もあります。このように、ワールド・ダラーは世界経済を動かす上で重要な指標と言えるでしょう。
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見えにくい経済活動:NOEとは何か?

- NOEとはNOEとは、「公式統計に適切に記録されない経済活動」を意味します。私たちの社会では、日々、ありとあらゆる経済活動が行われていますが、実はその全てが政府の統計にきちんと反映されているわけではありません。 NOEは、こうした統計の「網目」をすり抜けてしまい、正確に把握するのが難しい経済活動を指す言葉なのです。では、具体的にどのようなものがNOEに該当するのでしょうか?例えば、税務署に収入を申告せずに報酬を得るような活動は、代表的なNOEの一つです。また、家族や友人のために無償で行う労働も、経済活動の一種であるにも関わらず、統計に反映されにくいという点で、NOEの範疇に含まれます。NOEの存在は、経済の現状を正しく把握し、効果的な政策を立案する上で、大きな課題となっています。なぜなら、NOEを含めた経済活動の実態を把握できなければ、実態に即した政策を打ち出すことが難しくなるからです。例えば、実際の経済規模を過小評価してしまうことで、必要とされる財政支出や金融政策を見誤ってしまう可能性も考えられます。NOEをいかに正確に把握し、可視化していくか。これは、今後の経済政策において、避けては通れない重要な課題と言えるでしょう。
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NEXT11: BRICsに続く成長市場

NEXT11とは、21世紀に入ってから注目を集めている、BRICsに続く経済成長が期待される11の国々を指す言葉です。BRICsとは、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指し、2000年代に著しい経済成長を遂げました。NEXT11は、BRICsに続く成長エンジンとして、世界経済に新たな活力を与えると期待されています。 具体的には、NEXT11には、アジアからインドネシア、韓国、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ、パキスタン、西アジア・北アフリカからイラン、エジプト、トルコ、そしてラテンアメリカからメキシコが含まれます。これらの国々は、豊富な天然資源、増加し続ける人口、そして経済発展の大きな潜在力を共通点として持ち合わせています。 中でも、インドネシアやベトナムは、近年目覚ましい経済成長を遂げており、多くの外国企業から注目されています。また、豊富な原油資源を持つイランや、世界的な観光地として知られるエジプトも、経済発展の潜在力を秘めた国として期待されています。 NEXT11は、今後の世界経済において、消費市場としても、生産拠点としても、重要な役割を担うことが予想されます。
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低圧経済:需要不足が生み出す負の連鎖

- 低圧経済とは低圧経済とは、人々が商品やサービスを購入する勢い(需要)が、企業がそれらを供給する力よりも弱まり、その状態が長く続く経済状況を指します。 需要が不足すると、企業は商品を売るのに苦労し、在庫が積み上がっていきます。この状況が続くと、企業は新しい商品を開発したり、工場や設備を拡充したりする意欲を失い、生産活動を抑えざるを得なくなります。まるで空気が抜けていく風船のように、経済全体が縮小していくイメージから「低圧経済」という言葉が使われます。 このような状態では、企業は新規の従業員を雇うことにも慎重になり、失業率が増加する可能性があります。また、給与の上昇も期待しづらくなるため、消費者の購買意欲はさらに減退し、経済の悪循環に陥ってしまう可能性も孕んでいます。低圧経済から脱却するには、政府による財政政策や中央銀行による金融政策など、様々な対策が必要となります。 需要を喚起し、企業の生産意欲を高めることで、再び経済を活性化させていくことが重要です。
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投資の選択肢!ロイター商品指数を解説

- ロイター商品指数とはロイター商品指数は、世界の様々な商品の価格の動きを表す指標です。毎日、イギリスのロイター通信社によって計算され、公表されています。この指標を見れば、世界経済がどの様な状況なのか、ある程度把握する事ができます。ロイター商品指数は、1931年9月18日を基準日としています。計算には、小麦や綿花、コーヒー、羊毛といった繊維原料、銅や錫、亜鉛、鉛などの金属、砂糖やゴム、とうもろこし、米、大豆、ココア、落花生、コプラといった農産物など、合計17種類の商品の価格が使われています。これらの商品の価格は、日々変動します。もし、多くの商品の価格が上がれば、ロイター商品指数も上昇します。逆に、多くの商品の価格が下がれば、ロイター商品指数は下落します。ロイター商品指数の動きは、様々な要因によって影響を受けます。例えば、世界経済の成長が加速すると、企業はより多くの商品を必要とするため、商品の価格が上昇し、ロイター商品指数も上昇する傾向があります。逆に、世界経済が減速すると、企業の商品の需要が減り、商品の価格が下落するため、ロイター商品指数も下落する傾向にあります。その他にも、天候や自然災害、政治経済の不安定化なども、ロイター商品指数の動きに影響を与える可能性があります。
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NCREIF指数:米国不動産投資の指標

- NCREIF指数とはNCREIF指数は、アメリカの不動産投資のパフォーマンスを測る上で、なくてはならない指標となっています。この指数は、アメリカの不動産投資受託者協会であるNCREIFの会員が保有する膨大な不動産データをもとに算出されています。会員には、年金基金、不動産ファンド、不動産投資顧問会社など、アメリカの不動産市場を動かす主要な機関投資家が名を連ねています。NCREIF指数は、四半期ごとに発表され、アメリカの不動産市場全体の動向を把握する上で非常に重要な役割を担っています。具体的には、オフィスビルや商業施設、アパートなど、様々な種類の不動産の価格や賃料、空室率などのデータが集計され、そこから算出された指数を通じて、不動産投資市場のパフォーマンスを評価することができます。NCREIF指数は、その網羅性と信頼性の高さから、機関投資家だけでなく、個人投資家や不動産業界関係者にとっても重要な指標となっています。アメリカの不動産市場に投資する際には、NCREIF指数を参考に、市場の動向を把握することが重要と言えるでしょう。しかし、NCREIF指数はあくまでも過去のデータに基づいた指標であるため、将来のパフォーマンスを保証するものではありません。また、アメリカの不動産市場全体を反映した指標であるため、地域や物件タイプによっては、NCREIF指数の動きと異なる場合もあることを理解しておく必要があります。
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経済悪循環:デフレスパイラルとは?

- デフレスパイラルとは物価が継続的に下落する現象を「デフレ」と呼びますが、このデフレが悪化していくと、経済活動全体を巻き込んだ負の連鎖が起こることがあります。これが「デフレスパイラル」です。デフレスパイラルは、物価の下落と、経済活動の縮小が相互に作用し合うことで悪循環に陥る現象です。例えば、物が売れずに物価が下落すると、企業の収益が悪化し、賃金の低下や人員削減につながります。その結果、人々の消費活動はさらに冷え込み、需要が減退することでさらなる物価下落を招きます。このように、デフレスパイラルは一度動き出すと、まるで坂道を転がり落ちる雪だるまのように、止めることが難しくなります。そして、経済全体が長期的な不況に陥るリスクを孕んでいるのです。デフレスパイラルは、企業の投資意欲を低下させ、雇用や賃金にも悪影響を与えるため、経済全体に深刻な影響を与える可能性があります。そのため、政府や中央銀行は、デフレスパイラルを回避するために、金融政策や財政政策など、様々な対策を講じる必要があります。
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デフレの基礎知識

- 物価が下がり続けるデフレとその影響デフレとは、様々な商品やサービスの価格が継続的に下落していく経済現象を指します。これは、裏を返せば相対的にお金の価値が上がっていく状態とも言えます。例えば、昨年100円で購入できたリンゴが、デフレ経済下では今年80円で買えるようになるかもしれません。一見すると、物価の低下は消費者にとって歓迎すべき変化に思えるかもしれません。しかし実際には、デフレは経済全体に深刻な悪影響を及ぼす可能性を秘めています。デフレが進行すると、消費者は「今より将来の方がもっと安く買えるだろう」という心理が働きます。その結果、消費を控えるようになり、経済活動は停滞してしまいます。企業は商品やサービスの販売が伸び悩むため、利益が減少します。利益の減少は賃金の低下や従業員の解雇に繋がり、更なる消費の冷え込みを招きます。このように、デフレは経済活動を縮小させる悪循環に陥りやすいという特徴があります。また、デフレは借金の負担を増大させる要因にもなります。デフレ下では物価が下落するため、企業は売上や利益が減少し、借金の返済が困難になる可能性があります。個人にとっても、住宅ローンなどの返済が実質的に重くなってしまう可能性があります。このように、デフレは一見、物価が下がることで得をするように見えますが、実際には経済全体に深刻な悪影響を及ぼす可能性があるのです。
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